中国的こころ中国関連書籍>私的図書館


ここは小生の私的図書館です。
すべて小生が読んだものを紹介しており、このホームページの本ネタになっています。小説だけではなく、エッセイや解説書も載せています。 中国の歴史に初心者の方も熟練の方も、自分に合った書籍をお探しください。

【私的図書館 111冊】 ←目次です。見たい書籍が一覧できます。

タイトル著 者外 見内 容価 格出版社
小説
管仲
(上)(下)
宮城谷昌光 春秋時代最初の名宰相である管仲の小説。若い頃の苦難の時代をクローズアップしており、 「管鮑の交わり」で有名になる鮑叔との友情が深く書かれています。 そのため相対的に斉桓公に登用されてからの管仲の辣腕ぶりが淡白に書かれているのが残念です。 改革を推進している時の苦労は、若い頃のそれには及ばないと感じさせられます。史書では見られない管仲の若い頃が魅力的です。 また管仲と同じぐらい鮑叔も魅力的な人物です。 各581円文藝春秋
子産
(上)(下)
宮城谷昌光 鄭の名宰相である子産とその父である子国の親子二代を主役にした小説。子国は七穆の出身であり、 さらにその武功によって司馬の地位を手に入れます。一方、子の子産は法を制定するなど文の面で鄭を支えました。小説では子国の生き生きとした活躍が目立って、 本当の主役の子産の影が薄いように感じました。武より文のほうが地味ですが、それにしても子国の印象が強く残る小説でした。 各619円講談社
耶律楚材
(上)(下)

陳舜臣 モンゴル帝国のチンギス・ハン、オゴディ・ハンに仕えた名宰相。契丹人として生まれ、金王朝に仕えたが、 モンゴル帝国に仕えて金王朝を滅ぼすというきわどい人生を歩みました。耶律楚材がいたから中国は牧草地にされずにすんだと言われるほど、 耶律楚材はモンゴルに文明というものを伝え、破壊を最小限に食い止めたとされます。耶律楚材はその生い立ちのせいか国際色豊かな政治家になり、 民族で分け隔てない政策を立てたといわれ、その辺りの葛藤もおもしろく描かれています。 各514円集英社
華栄の丘
宮城谷昌光 宋の宰相華元の小説。中程度の国の宰相を扱ったのは、華元という宰相が他にはないタイプの宰相であったからでしょう。戦国の世で、 詐術を嫌い正道を貫くことができたのは稀有なことだったのです。特に華元は鄭との戦いで捕虜となったり、楚の約1年にも渡る包囲にも耐え切り、 自身と宋を滅亡から救った奇跡の宰相なのです。華元は数代の君に仕えましたが、華元を最も重用した名君文公の時代を小説の範囲として、 派手さはないけれども正道を貫いた宋の政治を描いています。 495円文藝春秋
沙中の回廊
(上)(下)

宮城谷昌光 晋の兵法の天才士会の小説。士会は没落した貴族の出身であり、低い身分から軍功を重ねて立身出世していくストーリーです。 しかし士会はただ軍事の人だけではなく、彼の家が法を司ったことからわかるように、法(政治)にも優れた官僚でした。特に士会は秦に出奔たにもかかわらず、 帰国して重用された稀有の経験をもっています。それをうまく宮城谷氏が小説化しています。複雑な群臣間の関係や君主の良し悪しで臣下の生き方が変わってくるなど、 随所に唸らされるポイントが隠されています。 各667円朝日
新聞社
曹操(上)(下)
陳舜臣 三国魏の創始者曹操の小説。三国志で有名な曹操の物語ですが、彼の事績は概略的に陳べられるに留められており、この小説の特徴はそれら出来事に関する曹操の思いが、 比較的客観的に曹操自身が語っているところです。陳氏の小説には客観的に物事を考える現代人が登場しますが、この小説ではそれが曹操自身であり、 同姓であるがゆえに結婚が許されなかった紅緒という女性との会話がポイントです。独裁者と思われがちな英雄が、 宗族や時代の趨勢によって色々制限を受けていたことがよくわかります。 各648円中央公論新社
五台山清涼寺
陳舜臣 短編小説集。鏡作りの職人、宮廷御用達品の職人、芝居小屋の名人、天才講釈師、1人の女を愛した富豪、諜報員、香港の老人が主役の一風変わった短編小説です。 どの主人公も歴史の表舞台には立つことはありません。しかし表舞台に立つ人の影で、このような人々がそれぞれの人生を送っており、 その人生は歴史の主役達に負けず劣らない波乱に富んだものなのです。もしかしたらこのような影に隠れた人々が時代を動かしたのかもしれないと思わされます。 540円集英社
楽毅
1〜4巻

宮城谷昌光 中山国の宰相の子楽毅は、祖国の滅亡を防ごうと奮闘するが、むなしく中山国は滅亡してしまいます。 彼は失意のうち孟嘗君の招聘を受け、さらに燕昭王に賓客として登用されます。 楽毅は歴史上目立つ存在でなかった燕を富国強兵策により斉を滅亡の淵にまで追い落とさせました。楽毅は内政にも戦争にも秀でたオールマイティな活躍をしたのです。 彼は昭王死後、恵王に疑われて亡命しますが、その昭王に尽くした忠誠は終生変わらず、後世から大きな称賛を得ました。 590〜667円新潮社
奇貨居くべし
1〜5巻

宮城谷昌光 秦の宰相呂不韋の幼少期から位人を極め、失意の晩年を書いた長編小説。呂不韋が時代の超有名人、 藺相如春申君荀子孟嘗君などと絡みながら成長していく過程がおもしろく書かれています。ただ、呂不韋が優等生すぎる気がします。 小生は呂不韋はあくどい商人で、しかも先見の明があり、諸学に精通していたというイメージだったので、ちょっとギャップがありました。 特に失脚の原因となる嫪アイについては呂不韋と関連が薄いように書かれているので、残念。 エリートで通すのは難しかったのでは? 各667円中央公論新社
杭州菊花園
陳舜臣 短編小説6編。「杭州菊花園」「もう一人の」「旋風島綺譚」は陳氏と親交があった人が関した殺人事件を小説風に書いてあり、ノンフィクションもので、 ちょっとドキドキさせられます。6編すべて非日本人が主人公であり、陳氏の国際性が伝わってきます。時代背景もあると思いますが、陳氏の人生経験はすごいなと思わされます。 また「夢と財宝」は陳氏にはめずらしい恋愛を背景とした小説です。これもおもしろいですよ。 533円徳間書店
胡蝶の陣
陳舜臣 中国歴史小説の短編6編。表題となった「胡蝶の陣」は倭寇に恨みを持つ陳可願の復讐と、最後に待つ意外な事実を描いています。 「楊貴妃は覇水を見た」は出生の明らかでない玉環があっというまに皇后に等しい地位を得た、その隠された秘密を書いています。その他、最後のどんでん返し的な小説が多く、 読み応えがあります。
他「パミールを越えて」「落日孤雲」「シンカンの若者」
571円廣済堂
出版
夏姫春秋
(上)(下)

宮城谷昌光 春秋時代の小国陳に嫁いだ稀代の美人夏姫を中心とした物語。「春秋」とあるとおり夏姫の物語ではなく、彼女を中心とした物語です。 夏姫はその美貌で数々の男と交わりますが、恐ろしいことにその男達は次々と非業の死をとげます。彼女は呪われた運命にあるのか、彼女を救える男は現れるのか、 春秋時代を彩った男達が繰り広げる権謀策術、それに加わる夏姫、この時代の雰囲気を強く伝える小説です。 524円講談社
花の歳月
宮城谷昌光 前漢景帝(啓)の生母である竇太后を主題とした小説です。竇猗房は貧農の家に生まれましたが、数奇な運命により代王劉恒の妃となります。 そして代王も数奇な運命により皇帝になり、竇猗房はその正妃となります。この小説では竇猗房は特に優れた人物ではなかったが、老荘思想が彼女を押し上げたのです。 もしかしたら無為を基調とする思想を貫いたことがよかったのかもしれません。小説自体は起伏が激しくありませんが、その背景を感じ取れば面白く感じます。 419円講談社
隋唐演義
(上)(中)(下)

安能務 三国演義、封神演義に並ぶ三大演義小説のひとつ。隋・唐時代の治乱興亡を舞台として英雄豪傑、仙人が活躍する物語。 唐建国の功臣秦叔宝と後代帮会(洪帮)の守護神に祭られる単雄信を中心となります。 イメージとしては水滸伝のような英雄がアウトローの道を行きながら次第に乱世になっていく時代で自らの居場所を見つけていきます。 物語は隋の滅亡から唐の建国までがハイライトで後は、歴史紹介にとどまり、尻すぼみがする物語です。水滸伝が好きな方には同じ感覚で読むことが出来ると思います。 (上)
(中)
(下)
各648円
講談社
太公望
(上)(中)(下)

宮城谷昌光 稀代の名軍師太公望の小説。羌族が商王の人狩に会い、少年望は幼少の族人を連れて命からがら逃亡します。そのため望は終生商王に復讐を誓います。 復讐だけを考えていた望は魅力的な人物(鬼公、箕子など)に出会い、生き延びるために使っていた頭脳を、 軍略に使うことによって人よりも先を見た戦略を立てることができるようになっていきました。それにしても宮城谷氏の知識には感服させられます。 小説の細部にわたって詳しい時代分析がなされています。非常におもしろいです。 各676円文藝春秋
王家の風日
宮城谷昌光 商王朝末のいわゆる殷周革命の長編小説。基本的に受辛比干(干子)・ 箕子という商王家のいきさつを中心として、乱れていく商王朝を描いています。 時代を超越した才能を持つ3人の時代を超えた政策論争が生き生きと描かれています。悪王の象徴ともいえる受辛が才能溢れる王であり、 その変革を急すぎたために王朝は混乱したという説はおもしろいです。宮城谷氏の作品『太公望』と一緒に読むとまたおもしろさ倍増です。 602円文藝春秋
孟夏の太陽
宮城谷昌光 短編小説4つをおさめていますが、4つの小説はすべて春秋時代の晋の重鎮、趙氏の連続した物語になっています。 『孟夏の太陽』では趙盾、『月下の彦士』ではその子の趙朔、 『老桃残記』ではその孫の趙鞅(簡子)、『隼の城』ではその子の趙無恤が主人公です。 趙氏の栄枯盛衰を個性ある主人公たちが切り抜けていく、「長編小説」です。春秋時代の国家の勢力関係や、主従関係が描かれていて、非常におもしろい一冊です。 476円文藝春秋
天空の舟
(上)(下)

宮城谷昌光 商王朝の建国の祖である伊尹の小説。生まれたとき大洪水がおこり、 赤ん坊であった伊尹は桑の木とともに流されたったひとり生き延びました。桑の木で運ばれた童子として特異がられて房中に入り、料理人となり、 夏王朝に仕えました。のちに伊尹は夏を出て、夏に反旗を翻した湯王と出会います。 民を第一に思う伊尹は湯王に力を貸すこととなり、周辺諸侯を説得し、ついに夏王朝を転覆させました。伊尹が湯王に就く理由がはっきりとしないところがありますが、 この不透明な時代を明確に書いた名著です。 各543円文藝春秋
俠骨記
宮城谷昌光 中国古代の人物を扱った短編集。この本の題目にもなっている「俠骨記」は魯の大夫曹沫が主人公です。 曹沫は斉桓公の侵攻に対し、会合の席で桓公を匕首で脅して土地を割譲させた気骨の士です。 「布衣の人」はを扱っています。 「甘棠の人」では周王朝建国の功臣召公奭が主役で太公望姫昌との関係がおもしろく書かれています。 「買われた宰相」は高齢で秦の宰相になった「五羖大夫」こと百里奚が主人公で、 彼のように波乱万丈な人生は小説でもおもしろく書かれています。 467円講談社
玉人
宮城谷昌光 春秋時代漢から唐時代を背景とした短編集6つ。歴史小説ではなく、歴史を舞台とした探偵ものという雰囲気。雨 、指、風と白猿、桃中図、歳月 438円新潮社
長城のかげ
宮城谷昌光 楚漢の争いを中心とした短編集5つ。それぞれの小説に関連性はないが、時代背景が同じのため相互関係を創造してしまう。 特に劉邦はどの短編にも登場し、彼と主人公との関係がおもしろい。劉邦を様々な視点から注目しているのではないかとも思われるほどです。 逃げる(季布)、長城のかげ(盧綰)、石径の果て(陸賈)、 風の消長(劉肥)、満天の星(叔孫通) 457円文藝春秋
青雲はるかに(上)(下)
宮城谷昌光 戦国時代秦の宰相范雎の物語。春秋戦国時代は諸子百家と呼ばれる多くの遊説家が諸国を巡って自説を説いてまわり、 その理念を実現化させようとした実に人間が生き生きと活躍した時代でした。范雎は不遇時代に罪を着せられ厠に落とされるという恥辱に絶え、 復讐をするため立身出世をめざしました。しかしどす黒いものがなく、読んでいても気持ちが暗くならなかった。 ただ范雎が優等生っぽく描かれていたような気がして多少残念でしたが・・・ (上)
686円
(下)
686円
集英社
北京悠々館
陳舜臣 清国光緒年代(日本では明治)の小説。日露戦争前夜のロシア・中国・日本の裏外交を舞台にする推理小説(?)歴史上の著名な人物は(表には)でてこないので、 歴史小説とはいえないかもしれません。中国好きの探偵小説がお好きな方にお勧め。 629円集英社
小説十八史略(一)〜(六)
陳舜臣 曾先之の著書『十八史略』が対象とする時代を、陳氏が小説として蘇らせました。十八史略自体も、正史や資治通鑑など読むのに困難な書類ではなく、 誰にでも読めるようにしたものであり、この小説も中国史入門にはうってつけです。 羿から文天祥まで有名なエピソード・人物が満載です。 660円〜718円講談社
阿片戦争
(上)(中)(下)

陳舜臣 清王朝末期のアヘン戦争の小説。清王朝末期、西欧は中国に対する貿易赤字(銀の流出)をとどめるために、アヘンを密売しました。これにより清国内でアヘンが充満し、 清の財政と倫理は乱れました。これを憂えた清王朝は林則徐を派遣してアヘン禁止を行いました。イギリスは近代兵器を駆使して清王朝を破り、治外法権を勝ち取りました。 この戦争により清王朝の権威は失墜し、西欧の中国植民化のきっかけとなりました。作者の愛国心と西欧の理不尽極まりない対外政策に感動・憤慨させられる小説です。 738円〜757円講談社
太平天国
(一)〜(四)
陳舜臣 アヘン戦争後、西欧列国が清王朝に治外法権を迫り治安が悪化するなか、エホバを天帝とし世直しを求める洪秀全が挙兵しました。洪秀全は英雄という感じではなく、 宗教人というか教祖みたいな位置付けで、戦略を考えるよりも神との会話や布教に熱心であったのでは・・・と思えます。いずれにしても宗教、 しかもキリスト教が背景にある小説はめずらしいのでそういった意味で異色の小説でしょう。 408円〜456円講談社
研究書
中国古代の
文化 NEW
白川静
津崎幸博
人名という固有名詞に使われる漢字(人名漢字)は約1000字あり、それは常用漢字とは別に定められています。この本は人名漢字についてその音・訓の使用方法やその文字の原義を明らかにしています。 子供に命名するときや自分の名の原義が何であるかを知ることは楽しいものです。(全267ページ)
・本文
・音訓索引
・総画索引
1995円平凡社
中国古代の
文化

白川静 「文」という文字の起源から説き始めて、中国古代文化の諸問題を明らかにしています。氏族・盟約・社稷・刑罰・法・巫・歌舞などの諸文化が詳細に説明されています。 古代文字と詩経と古代文化の関連を考察する一冊(全310ページ)。
・第一章 文の理念
・第二章 考古の世界
・第三章 秩序の原理
・第四章 原始法の問題
・第五章 巫祝の伝統
・第六章 歌舞と芸能
・第七章 文学と古代文化
・第八章 古代文化の展開
1050円講談社
中国古代の
民俗 

白川静 中国の民俗学を万葉集の民俗学と比較しながら民俗学的な解釈の必要性を述べ、また甲骨文・金文などの古代語の構成がその民俗と深く関係していることが書かれています。 古代文字と詩経と古代文化の関連を考察する一冊(全301ページ)。
・第一章 民俗学の方法
・第二章 古代歌謡と民俗
・第三章 言霊の思想
・第四章 詩経民俗学
・第五章 卜辞の世界
・第六章 語部と巡遊者
・第七章 月令と歳時記
1050円講談社
三星堆・
中国古代文明の謎
徐朝龍 近年発掘された四川省の三星堆遺跡の発掘品と『山海経』との関連を追及する本。謎の多く荒唐無稽だと考えられる『山海経』は三星堆文明が発祥地であり、 南方の楚に広がり、それが中原世界にも広がったとする説を展開しています。『山海経』の解釈と三星堆遺跡の発掘品の捉えかたのひとつの方向性を提示しています(全236ページ)。
・第一章 奇書『山海経』
・第二章 三星堆文明の素描
・第三章 不思議な縦目青銅仮面
・第四章 よみがえる崑崙
・第五章 神樹伝説の源流
・第六章 西王母と三星堆蜀王国
1890円大修館
書店
先秦の社会と
思想
高木智見 古代の文献史料は、そこに記載されている具体的事実を問題にするより、その史料が本来伝えようとした意味内容を把握すべきであるとする態度で先秦時代の社会と思想を研究した本です。 (全400ページ)
・第一部 血族社会の世界観
  第一章 古代人と髪
  第二章 人間と植物の類比的認識
  第三章 血族の長期的存続
・第二部 『老子』思想の歴史的研究
  第一章 『老子』思想の本質とその背景
  第二章 歴史と『老子』
  第三章 天道と道
3500円創文社
諸子百家
<再発見>
掘り起こされる
古代中国思想
浅野裕一・
湯浅邦弘 編
近年相次いでいる古代文献の出土によって注目されている中国古典について、従来の研究や考え方がどのように変化するのかが書かれています。 そして新出土文献によって先秦時代に書かれた文献の新しい研究がわかります。凝り固まった私たちの頭をほぐしてくれる一冊です。(全244ページ)
・第一章 諸子百家と新出土資料
・第二章 諸子百家の時代の文字と書物
・第三章 天と人との距離
・第四章 人間の本性は善か悪か
・第五章 孔子の教えは政治の役に立つか
・第六章 老子と道家
・第七章 孔子は『易』を学んだか
2600円岩波書店
竹簡が語る
古代中国思想
上博楚簡研究
浅野裕一 編 近年相次いでいる古代文献の出土によって中国古典の根本的な見直しがされるようになりました。この本はその中から上海博物館蔵戦国楚簡竹書について、 4人の研究者がそれぞれのテーマで書いています。これまでとは異なった見解あり、新しい発見ありの興味深い本です。(全265ページ)
・第一章 『容成氏』における禅譲と放伐
・第二章 『容成氏』における身体障害者
・第三章 『従政』の竹簡連接と分節
・第四章 『従政』と儒家の「従政」
・第五章 『子羔』の内容と構成
・第六章 『中弓』における説話の変容
・第七章 『魯邦大旱』における「名」
・第八章 『魯邦大旱』における刑徳論
・第九章 『恆先』の道家的特色
・第十章 『恆先』における気の思想
3500円汲古書院
睡虎地秦簡
よりみた
秦代の国家と
社会
工藤元男 睡虎地秦簡をベースとして統一前の戦国秦の国家体制と社会を解明する研究書。戦国秦の支配体制とその変遷がよくわかる。 自論のみでなく反論も記述してそれを論破しているので、素人でも論点がわかりやすい。しかし内容自体は非常に専門的なものであり、 特に「日書」については占いや暦についての知識がなければ内容を理解することすら難しい。(全403ページ)
・第一章 内史の再編と内史・治粟内史の成立
・第二章 秦の都官と封建制
・第三章 秦の領土拡大と国際秩序の形成
・第四章 睡虎地秦簡「日書」の基礎的検討
・第五章 「日書」を通してみた国家と社会
・第六章 先秦社会の行神信仰と禹
・第七章 「日書」における道教的習俗
・第八章 禹の変容と五祀
・第九章 「日書」に反映された秦・楚のまなざし
・第十章 戦国秦の嗇夫制と県制
・終章 睡虎地秦簡よりみた戦国秦の法と習俗
9800円創文社
秦の始皇帝
籾山明 中国歴史人物選の第一巻は始皇帝を扱っています。基本的には始皇帝の一生が書かれていますが、時代背景や近年の考古学的発見の内容も盛り込んでおり、 秦の六国併合前後の通史としても十分に楽しむことが出来ます。睡虎地秦簡や三星堆遺跡や南中国の文化などの情報をおりまぜて、奥の深い始皇帝像が書かれています。 1680円白帝社
秦漢帝国
西嶋定生
秦王朝の創設と滅亡、前漢王朝の創設と滅亡、新王朝、後漢王朝前半期までを扱った概要書。後の中国の原型となった秦王朝と前漢王朝の設立の意味を全編通じて説いています。
史記などの史書に記述された出来事だけでなく、思想や経済についても扱っているため、一冊の本でこの時代を知りたいという方には最適の書籍であると思います。
1550円
講談社
睡虎地秦簡松崎つね子
長江中流域の睡虎地という場所から秦統一直前の墓が出土しました。その被葬者は秦で地方官吏をしていた人であり、秦時代の法律関連の書籍が多く葬られていました。 その書類をまとめて睡虎地秦簡というのですが、この本は膨大な睡虎地秦簡の中から「編年記」と「法律問答」の訳のみを集録しています。 しかし全体の概略が掲載されていますし、法律問答はいわば判例Q&Aみたいなものですから、当事の法律を知るにはうってつけの本といえます。
2940円
明徳
出版社
夏王朝
王権誕生の
考古学
岡村秀典
夏王朝について、文献と考古学の両面から解き明かした一冊。荒唐無稽な古典文献の内容を、でたらめであると破棄するのではなく、 その書かれた背景を考察し、網羅することで、その時代に伝わった古代夏王朝の姿をまとめ、さらに考古学の結果と照らし合わせています。 考古学は最新(2003年)の結果が書かれているので、最新の情報が手に入ります。その結果、夏王朝の実在はほぼ確定されているようです。
また当時の人々の生活に焦点をあてた著者の考え方も新鮮です。
1900円
講談社
中国古代の
化学

藪内清
中国の古代から中世にかけての科学について、概略を述べた一冊。青銅から鉄を扱った古代の金属についての技術、百家争鳴に代表される自然科学、 天文と地理について、医学、地震や日時計などの科学、紙・火薬・羅針盤など中国を代表する発明について書かれています。しかし、概略にとどまっていますので、 雑学を得るといった感じです。
800円
講談社
『春秋』と
『左伝』
平勢隆郎
斬新な学説を唱える平勢氏の書籍です。『春秋左氏伝』は『春秋』の解釈がわからなくなったために、その補足説明のために書かれたとされてきました。 平勢氏は、『春秋左氏伝』は戦国時代の国家や学者の正統化のために作られたという説を述べています。何十もの例をとりあげて、自説を展開しているのを見ると、 これぞ学術書(論文)なのだなあと関心させられます。
3150円
中央公論新社
中国古代の
社会と経済
西嶋定生
中国古代の社会と経済を殷・周、春秋戦国、漢、魏晋南北朝と時代別に分けて説明しています。特に農耕についての考察は非常に詳しくなされています。 古代都市国家から邑制国家、邑制国家から専制君主国家への国家制度の移行の理由を社会的な状況の変化、経済の変化の面から説明をしています。
当時の農耕に関する詳しい図面や、地図をふんだんに使っており、この手の本にしてはわかり易い記述になっています。
2575円
東京大学
出版会
東アジアと
日本の考古学㈸
後藤直
茂木雅博 編
「東アジアと日本の考古学」シリーズの第5作で、集落と都市という副題がついています。このシリーズは中国・朝鮮半島・日本を主とする東アジアの文物を解説し、 その関連性を究明するものです。この本の中に9つの論文が収録されており、近年の研究報告がなされています。第5作は新石器時代から唐宋代までの国都の変遷などを扱っています。 2003年に発行されている最新の研究であり、非常に有益な本です。シリーズは、墓制㈰、㈪、交流と交易、生業とあります。
4900円
同成社
東洋的古代
宮崎市定
東洋史の権威宮崎氏の論文を集めた単行本です。書かれた年代は1960年代から80年代であり、かなり古いですが、 その論文の読み易さと着眼点のするどさは流石とうならされます。古代中国をよくギリシア・ローマと比較されていて、さらに内容をわかりやすくしています。 古代中国の都市国家や耕作地や労働力、物価の考察が詳しくされており、古代中国経済を知るには必須の本といえるでしょう。歴史では人物が中心になりますが、 社会や経済のことを知ることで、さらにその人物のことが身近になると思います。
876円
中央公論
新社
諸子百家の
事典
江連 隆
諸子百家個人の思想家の紹介はもちろん、その学派の詳しい説明があります。この本はどちらかといえば思想家個人よりも学派の紹介が主な目的となっているようです。 さらに春秋戦国時代の時代背景や戦争、地図もありますので、この時代の概要を知った上で、これら諸子百家の思想を考えることができるので、分かり易くなっています。また有名な言葉を抜粋した辞書もあります。 また事典なので、人物名、地名、言葉などで索引があるのもありがたいです。
5670円
大修館
書店
秦の始皇帝
陳舜臣
秦の始皇帝を扱った書籍です。始皇帝の出生からその死までを平易な言葉をつかって、丁寧に書いています。中国歴史の初心者向けに書いていると思えるほどです。 しかし内容は薄いものではなく、数々の事例を出してきては始皇帝の分析をしているところは、さすが陳氏といえます。近年、始皇帝を見直そうとする風潮がありますが、陳氏は良い点と悪い点をはっきり区別して書いているので、 とてもわかりやすくなっています。何はともあれ、やはり始皇帝は中国史上最も影響を与えた人物であることはかわりありませんよね。
438円
文藝春秋
中国姓氏考王 泉根 著
林 雅子 訳
中国の姓氏の誕生から、各時代の命氏の方法やその変遷を扱った書籍。古代の姓の発生から、現代の命名のトレンドまでを分かり易く例を用いて説明しています。
古代から春秋戦国時代までの姓名は複雑ですが、この書籍を読むと理解することが出来ます。同じ人物でも呼び方が数種類あるので、中国の姓氏については注意が必要です。 姓と氏が春秋戦国時代には異なるものであったことは、小生にとって大きな発見でした。
2575円
第一書房
春秋戦国時代
の歴史と文物
李 学勤 著
五井直弘 訳
「研文選書」というシリーズの一冊。春秋戦国時代を考古学の分野から分析している書籍です。都市や陵墓、青銅器や鉄器など細かく16章に分かれて説明しています。 そのため各章の紙面が少なく、概要を記述するにとどまっています。現在の(といっても1980年代ですが)考古学の研究状況を報告するような内容です。深い考察まで及んでいないため、 ちょっと欲求不満が溜まりますが、歴史を分析するにはこのように各方面から考察することが必要であると認識させられます。
3605円
研文出版
中国の神話アン・ビレル
ここで紹介する初の西洋人の著作。中国の神話を楽しい挿絵を交えてわかりやすく解説しています。そもそも神話自体が、ひとつにまとまっているわけではないので、 色々な説があることを、その時代背景とパターンを解説することでうまく紹介しています。西欧や古代文明の神話との比較も簡潔にまとめられていて楽しく読むことが出来ます。
『山海経』で断念した人はどうぞ。
2000円
丸善株式会社
中国の考古学小澤正人
谷豊信
西江清高
中国歴史の古代から秦漢代までを対象とした書籍。詳細な考古学上の発見を記述し、そこから導き出される歴史を簡潔に記述しています。とくに出土品の詳細な分析はおもしろく、 考古学の精密さに驚かされます。
また、夏王朝の存在に考古学から迫ります。商王朝に先行する中原文化の存在は確認されています。はたしてそれが夏王朝なのか?
さらに各王朝の城郭址の分析によって、当時の文化生活が明らかにされます。
3200円
同成社
秦漢帝国へのアプローチ鶴間和幸
古代以降、中国の原型となった秦、漢両帝国の実体を分析する前に、統一王朝という先入観を棄てて見る必要があると著者は説きます。 秦漢は戦国時代の地域国家システムを引き継いでおり、全国統一のシステムを運営しなかったとし、著者は実際に現地を見歩くことによって、 秦漢時代の地方性を肌で感じ、それを分析することが必要だとします。この本は、実際に分析しているのではなく、タイトルどおりアプローチであり、問題提起で終わっています。 ただ、秦・漢の誤った先入観を取り除くには最適でしょう。
729円
山川
出版社
長江文明の曙梅原猛
厳文明
樋口隆康
近年、長江流域の古代文明の究明が盛んになされています。この本は、哲学者と考古学者との対談方式で長江文明が語られています。稲作文化の発展状況、 長江流域の遺跡、黄河文明との関連について平易な会話の中で説明されています。哲学者の梅原氏の考えと考古学者の厳氏、樋口氏の立場が違う人たちの会話は、同じものを見ても感じ方が異なり、 会話に広がりを見せています。対談の間に、考古学者両氏の論文が載せられており、内容も充実しています。
2200円
角川書店
よみがえる文字と呪術の帝国平勢隆郎
商・周王朝に関する既説を覆す論を展開します。彼の詳細かつ莫大な自論を一般向けにわかり易く書いた本。といってもかなり難しいです。史記の年代矛盾は既説の踰年称元法では解決できず、 立年称元法によって解決できるということで、氏の論でいくと、史記の年代矛盾はほぼ解明できるらしいのです。小生もとりあえずは史記で年代の記されていない西周時代の年代を、氏の論に従ってまとめいていくことにします。 (※平勢氏の姓は正確には「勢」ではありません)
780円
中央公論新社
金文の世界
殷周社会史
白川静
白川先生の「世界」シリーズ第二弾(ウソ)。青銅器に刻された文章を金文と言いますが、その金文を分析して、商王朝と周王朝の歴史を見ていこうとする研究書です。 今だはっきりとしない西周時代の社会経済、構造、制度を説明しています。どうしても周王朝といえば、後世の儒家によって理想化されていますが、 その実情が著書によってリアルに現れるのです。ちょっと難しい箇所もありますが、結構、面白いです。これ。
2300円
平凡社
甲骨文の世界白川静
甲骨文の記述から、商王朝の構造を研究する一冊です。実際に甲骨文を載せて、その読み下し文をつけて、甲骨文もわかり易く丁寧に解説してくれています。貞卜の方法から、商人が信じた神の形態、 祖祭の体系、商王朝の政治と軍事、社会と生活を取り扱っています。神権政治に位置づけられる商王朝の実態と、中国にはないといわれている奴隷制時代についての考察など、多岐にわたっています。 著者は古代中国研究の権威ということです。
2200円
平凡社
中国社会
風俗史
秋田成明 訳
中国の風俗を事細かく分析した本。数々の文献の記述をもとに纏めたものです。このHPの特集でも周代の生活をまとめていますが、その資料のほとんどはこの本からとりました。 服装、食事、住居、車馬、道路、城郭、商業、祭祀、学校、結婚、葬式、お墓、礼、官吏、郷里、賦役、戸籍、奴隷、軍事、芸など多岐にわたります。当然、周代だけではなく、 古代から清王朝まで歴代の時代について言及されています。
2700円
平凡社
関羽伝今泉恂之介
史実(正史三国志)と三国演義と民間伝承を組み合わせて関羽の存在に迫る。このような手法の本は見たことが無くて非常におもしろかったです。特に 歴史の「真実」とは正史に書かれていることだけではなく、これまでの時代で語り継がれてきたことも歴史ではないのだろうかと思わされるものでした。 私は中国史の中で一番好きな人物が関羽なので、それもあって特におもしろく読めました。名著です。
1200円
新潮社
中国の歴史
(一)〜(七)

陳舜臣
中国の歴史を古代から中華人民共和国建国までを著者の祖国への思いをこめて書かれた名著。小生はこれを読んで中国史にはまりました。 歴史を事実の羅列だけで考えるのではなく、著者の考えや違った角度から同じことを見ているので自分なりに歴史を考えることができる ようになります。各時代に興味ある人物が登場し、通史として中国史を楽しめます。とにかく面白いにつきる本です。
小生の一番のお気に入りです!
各660円
講談社
中国の歴史
近・現代篇
一・二
 NEW
陳舜臣
名著「中国の歴史」の近代・現代篇。前作で概要しか記されなかった清王朝末期以後の中国の歴史を2冊で詳細に記しています。
近・現代篇 一
 ・黄龍振わず
 ・落日に立つ
各857円
講談社
古典
孫臏兵法
村山孚 訳 幻の兵法書と言われた孫臏兵法書の全訳。戦国時代の兵法家孫臏の著といわれます。 孫臏は『孫子』著者の孫武と混同されていましたが、 1972年に銀雀山漢墓の竹簡からこの『孫臏兵法』が出土したことによって彼らふたりの存在とこの名著2冊が明らかにされました。 残欠が多く、まだ解明されていない部分もありますが、数少ない孫臏兵法の訳書です(全220ページ)。
解題
上篇(15篇)
下篇(15篇)
1890円徳間書店
呂氏春秋

町田三郎
訳注
秦の宰相呂不韋が食客に編集させたといわれる古典。戦国時代末期の時代、諸子百家の諸説を集めたものとされます。 この本は『呂氏春秋』のなかから本編の「十二紀」を取り出して、またその中から説話がある部分を訳者がさらにピックアップした部分を載せています。全文ではありませんが、 呂氏春秋のイメージがよくわかる構成になっています。諸子百家の諸説を系統立ててわかりやすくまとめています。
1050円
講談社
論語


金谷治 訳注
中国古典の中で、最も有名な古典のひとつ。その論語の全文本文、全文書き下し文、全文訳をそろえた完全版です。注釈の量は少ししかありませんが、 本文訳はずいぶんくだけた訳になっているので、結構よみやすいです。文庫本サイズなので、ちょっと空いた時間に自分の好きな部分から読むという、気軽な気持ちで論語を読むことができます。 もともと名著なので、説明するまでもなく面白い本です。
760円
岩波書店
勝利を導く
兵法書
呉子


尾崎秀樹
孫子と並び称される著名な兵法書。全文の翻訳と書き下し文で構成されています。字も大きく読み易く、余計なものをはぶいたいい本です。 『呉子』自体の解説が少ないのが残念ですが、古典の全文をこの価格で提供できるのは評価できます。
1600円
ニュートン
プレス
兵法 孫子


大橋武夫
1980年に書かれたかなり年代物の孫子本です。孫子の本は数あれど、この本は読み下し文と本文訳(全文)はもちろん「孫子抜粋」として重要なフレーズを抜粋してそれを解説しているのはわかりやすくて非常にありがたいところです。 マネジメント社らしく「経営孫子」と称して、孫子を経営に生かす術も書かれていますが、小生は純粋に古典を楽しみたいので、これは好きな方に見てもらうことにしましょう。 さらにおまけ(失礼?)としてマキャベリの謀略と孫子を参考にした楠木兵法についても書かれていて、一粒でニ度おいしい。
1300円
マネジメント社
国語(上)(下)


大野峻
明治書院の新釈漢文大系の66、67。春秋時代の各国の歴史を扱った古典で、この時代を知るには必須の書類でしょう。 作者は『春秋左氏伝』と同じ左丘明とも言われます。国語の対象となる国は、周・魯・斉・晋・鄭・楚・呉・越であり、短編を集めた形式です。 史記を読んで春秋左氏伝をまだ読んでいない方は、この国語を読むと一気に春秋時代の世界が広がります。それほど内容は詳細で濃いものです。新釈漢文大系の書籍は高額ですが、 原文・訳・注釈と完璧に集録されており、金額に恥じないシリーズです。
5500円
6000円
明治書院
楚辞


星川清孝
明治書院の新釈漢文大系の34。古典を読むにはこのシリーズが最適でしょう。戦国時代の楚の大夫屈原によって著されたとされる詩集。 屈原は佞臣により君主に疎んぜられ、失意のうちに入水自殺しました。そのためこの楚辞には佞臣を恨む思いや君主に認められない恨みがこめられています。楚辞が多く読まれたのは、 後世、屈原と同じ思いや境遇になった数千数万の人々が屈原に共感したためでしょう。
5500円
明治書院
孟子(上)(下)



小林勝人 訳
孟子の全文訳です。本文、読み下し文、注釈があり、スタンダードな訳本です。
孟子は戦国時代の思想家で、孔子の流れを次ぐ儒家であり、孔子の教えを軸にしながら独自の思想を展開しており、『孟子』は孟子が諸侯へ説いた言語禄です。孟子は、 人が天から与えられた本性は善であるという信念に立って、天から万人に等しく与えられたこの本性を全面的に開花させるための実践倫理を示そうとしました。
520円
770円
岩波書店
荀子


内山俊彦
戦国時代末期の思想家荀子の思想を分かりやすくまとめた書籍。普通の解説書は、原文・読み下し文・訳文という形態をとっていますが、 この書籍は、著者の内山氏が荀子の思想を題目別にわけて解説しています。そのため、原文がどのような構成になっているかがわかりませんが、荀子原文の中で散在しているエッセンスをまとめているので、 素人が原文を読んでも理解できないことも詳細に教えてくれている感じです。こういった解説書もいいですよ。
1000円
講談社
墨子


浅野裕一
墨翟の思想書『墨子』の解説書。全訳ではありませんが、原文と読み下し文と翻訳がセットとなり、詳しく説明されています。 全71章のうち、16章を扱っており、有名な兼愛篇や非攻篇が解説されており、墨子の主要な思想が詳しく理解できるようになっています。また墨子の思想体系から、 墨子自身の生い立ち、墨家集団の成立から「楊朱・墨翟の言は、天下に盈つ」といわれるまでの勢力を保ついきさつ、そして墨家絶滅までも詳しく説明されています。
900円
講談社
戦国策

林 秀一
福田襄之介
明治書院が誇る新書漢文体系の戦国策です。この新書漢文体系は古典をわかり易く読みやすくするために、全文ではなく本文を抜粋して、書き下し文と訳、そして解釈をつけています。 まさに古典の入門書といえるでしょう。名前は聞いたことはあるが、内容は知らないという書籍を読む時には、このシリーズは重宝すると思います。 さて戦国策は戦国時代の縦横家の知略謀略について述べた歴史書です。ことわざになった事が多く出てきます。
ただ全文ではないので、何か物足りない感じもします。
980円
明治書院
華陽国志


中林史朗
華陽国とは西晋時代の巴蜀のことを指し、当時李氏政権に仕えた常璩が華陽の歴史を著した地方史です。先史時代から西晋までの歴史と地域の特産物や郡県をまとめたもので、 貴重な文献です。
巴志・漢中志・蜀志の周代のことはまったく知らなかったので、おもしろく貴重なものでした。劉先志・劉後志は『三国志』の蜀志とほぼ同じであり、 みなさんがよく知ったものです。
2800円
明徳
出版社
春秋左氏伝

鎌田 正
春秋戦国時代を知るうえで、『史記』と双璧となる書籍。春秋左氏伝は、孔子著の『春秋』の注釈書として、左丘明が著したと言われています。 このシリーズは細かい注がついているので、非常にわかりやすくてよいのですが、紙面の関係で全訳をカバーしていないのがいたいところ。
2400円
明徳
出版社
史記 1〜8

小竹文夫 ・小竹武夫訳
司馬遷の名著史記の訳書です。史記自体がおもしろい書物なので当然読み応えがあります。さらに注も充実していて、その場で括弧書きで入れているので読みやすいです。 史記に関する書籍は多くありますが、これは史記全般の訳書ですので、まず読んでおくことをお勧めします。文庫本サイズで、価格も安くてお手ごろです。史記に関する書籍は 山ほどありますが、その中でもよいものだと思います。
各1200〜1400円
筑摩書房
晏子春秋

山田琢
晏子春秋の原文、解説書。全文訳はなく、読み下し文のみですので、ちょっと読みづらいかもしれません。ただし原文の注はかなり詳しくて 訳することに対しての心配はありません。また著者の概要解説もあり、それを読むだけでもこの書類の概要がつかめます。晏嬰の政治に対する考え方と、その考えを貫くため主君でも媚びないところは感動すら覚えます。
2500円
明徳
出版社
六韜・三略


守屋洋
六韜三略の全訳。六韜・三略とも太公望ゆかりの兵法書です。よく守屋氏とかプレジデント社の本はリーダ学、組織論を主張しすぎて もともとの古典のおもしろさを半減させてしまうきらいがありますが、全訳書なので古典自体のおもしろさは保たれています。 しかし兵法書なので確かにリーダたるものは・・・、という定義が色々出てきます。それを見ると当たり前のことを書いているのですが、 それを実践するのが難しいのだなあと思わされます。また兵法書のもうひとつのおもしろさはその当時の軍隊の構造を垣間見ることができることでしょう。
2500円
プレジデント社
司馬法・
尉繚子・
李衛公問対



守屋洋
司馬法尉繚子李衛公問対の全訳。司馬法は時代からあった兵法書を戦国時代の斉の司馬穣苴が編纂したといわれます。 尉繚子は尉繚が著したものですが、その尉繚は㈰梁(魏)の恵王に仕えた人㈪秦始皇帝に仕えた人のどちらかといわれますが、㈰に分があるようです。李衛公問対は唐太宗と 衛公李靖との兵法についての対話集です。司馬法はかつての兵法書といった感じで、尉繚子は法家的な匂いがします。李衛公問対はマニアックな兵法の問答で かつての軍師の順位をつけていておもしろい。
2800円
プレジデント社
老子


金谷治
中国思想において儒教と双璧とされる道教の聖典とも呼べる書物。儒教が国教的な扱いを受けたことに対して、道教は民間にくだり中国史の裏を彩ったといえるでしょう。 そのため道教には神仙的ないわば呪術的なイメージが強くあると思います。しかし道教の祖といわれる老子にはまったくそのような臭いはありません。政治に取り組み、儒家とは異なる 理念で理想政治を説きました。同じ道教でも荘子の世俗を超越した考え方とはまた違った政治臭さがあり、またそこが『老子』の魅力だと思います。
この本は全訳を載せており、著者の 総括が章ごとにあり、本文に隠された意味を私たちに教えてくれます。読みやすく、親切な一冊です。
860円
講談社
大学



宇野哲人
四書『大学』『中庸』『論語』『孟子』のひとつの訳書。四書とは漢以後の五経中心の学問に変わり、孔子・曾子・心思・孟子 の教えを継承することが必要とした朱子が総称した書類です。もとは五経の『礼記』の一編でした。この訳書は1916年(大正5年)発行 されたもので、『大学』訳書の権威です。そのため訳が旧仮名遣い的なのでちょっと読みづらかった感もありますが・・・。 「修身・斉家・治国・平天下」という有名な言葉の出典がこれです。儒家の教えや心がまえを知るにはお勧めの本です。
580円
講談社
中庸



宇野哲人
四書『大学』『中庸』『論語』『孟子』のひとつの訳書。中庸は著作される時代に老荘の思想が流行ってきて危機感を感じた儒家が作成したものと言われています。 『大学』は修身から平天下を説く書物ですが中庸はその説を全宇宙の普遍的な秩序であると思想をより深層なものにする目的がありました。 大学にしても中庸にしても倫理を説いているので、理解することが難しいですね。上記『大学』と同じように昔の本なのでちょっと読みづらいかもしれません。
800円
講談社
山海経


高馬三良
中国古代の地理書。誰が作ったか定かではなく、年代も複数の人によって編成されたといわれる書籍です。内容も荒唐無稽でとらえどころなく、奇怪な植物や 鉱物、動物が出てくる。その地理も実際の土地に当てはめることが難しく、読むことに苦労しました。これを史実として考えることは難しいと思いますが、妖怪などが好きな方には その特殊性はおもしろく感じるのではないでしょうか。
854円
平凡社
列仙伝・神仙伝


沢田瑞穂
列仙伝は前漢末の劉向の撰と言われています。(撰者については諸説あるようですが)神仙伝は抱朴子こと葛洪です。内容は重複するところも多く、 神仙伝は列仙伝からもチョイスして載せています。老人から女性まで仙丹を得て仙人になる物語で、70人前後の仙人が収められています。
1500円
平凡社
資料、地図
中国服装史 NEW
華梅
中国の服飾関連の学校の教科書になるほど権威のある書籍。古代から現在に至る中国の服飾の概要と少数民族の独特の服飾を挿絵をはさんで説明しています。 教科書ということで専門的な言葉もあってわかりづらさはあるが、服飾に特化した書籍は珍しいので貴重な一冊。(全352ページ)
・第一章 秦の統一前の服装
・第二章 秦漢の服装
・第三章 魏晋南北朝の服装
・第四章 隋唐五代の服装
・第五章 宋遼金元の服装
・第六章 明代の服装
・第七章 清代の服装
・第八章 二十世紀前半の漢民族の服装
・第九章 二十世紀前半の少数民族の服装
・第十章 二十世紀後半の服装
2200円
白帝社
争覇
春秋戦国
学習研究社の『歴史群像シリーズ』についに春秋戦国時代が扱われました。このシリーズは図や絵や表を駆使してその時代を分かりやすく説明しており、 この争覇 春秋戦国についても同様の内容になっています。わかりにくい時代変遷をフローで示したり、当時の服装や工芸品を絵や写真で解説しています。それだけではなく、 兵制、長城、鉄器、商人などについて徹底分析と称して詳細な分析をしています。
初めての方から上級者までをカバーする書籍です。
1575円
学習
研究社
古代中国に
おける周王朝時代の
マトリックス年表
井口雄哉
史記を基本として西周時代から戦国時代までの年表をマトリックスで表したものです。著者が宮城谷氏の小説を楽しく読むためにつくったという本です。ただしレイアウトも平凡であり、 データも史記からほとんど取っているので、真新しい発見はありませんでした。春秋左氏伝や戦国策などを研究して入れて欲しかったと思います。あえて購入する必要はないかもしれません。
2100円
梓書院
大唐王朝
女性の美

斎藤茂・傅江ほか
2005年に岡山で開催された「大唐王朝女性の美展」で販売された展示品の資料集。オールカラーで145ページあります。 時代の概要と概略年表と地図があわせて掲載されています。ひとつひとつ展示品に詳しい説明がつけれられいます。当時の技術の高さが非常によくわかります。
2000円
中日
新聞社
戦略戦術兵器事典
中国編

古代から清代までの中国の兵器を網羅した事典。カラーを多く使って細かく解説しています。武器や防具を始め、戦車や戦艦、馬具なども紹介しており、 兵器だけでなく、当時の戦時の恰好も想像することができます。また兵器だけでなく、古代からの戦略なども図面を使って解説しており、各時代の戦のトレンドがよくわかります。 各時代の有名な戦役の状況を細かく解説している部分もあり、古典を読むだけではよくわからなかったことが理解できる一冊です。
1500円
学習
研究社
中国五千年史
地図年表

稲畑耕一郎 編
「陳舜臣中国ライブラリー」シリーズの別巻として編集された地図集です。時代ごとの中国全土と国都など重要地域の周辺地図を載せています。 オールカラーで分かり易くしており、ここにあげた簡明中国歴史地図集の日本語版といえます。ただ不満が残るのは、歴史上の都市が現在の都市のどこに当るのかという記述が、 大都市に限られていたのは残念です。できればすべての都市について書いてほしかったです。また戦場など重要地名も扱ってほしかったですね。
2625円
集英社
図解
甲骨文の
書き方
二瀬西恵
甲骨文字の書き方を扱った本です。書き方と言っても、数個の事例を挙げているだけで、ほとんど漢字の書き方と同じです。四季や数詞、吉語、 十二支などの書き順を集録しています。また「千字文」を甲骨文字で集録しており、いろいろな字を見ることが出来ます。ただ、千文字を詳しく知らないと、どの字がどこにあるのかわかならくなり、 検索に時間がかかることがネックです。また千文字は結構マイナーな字が多いので、一般的には使わない文字が多いこともちょっと残念な点です。常用漢字でもよかったのでは・・・
1785円
木耳社
世界の美術館
故宮博物院

世界の美術館シリーズNO71。世界の美術館の展示物を紹介する雑誌です。この本は北京の故宮博物院の特集です。故宮博物院に収蔵されている書籍、仏像、青銅器、 陶磁器などを美しい写真で紹介しています。A4版の迫力で、展示物を細かく観察できます。また数点をピックアップして、細かな部分の解説をしています。 最後にはおまけで北京市内の美術スポットも紹介しています。
560円
講談社
世界の美術館
国立
故宮博物院

世界の美術館シリーズNO80。世界の美術館の展示物を紹介する雑誌です。この本は台北の国立故宮博物院の特集です。故宮博物院に収蔵されている書籍、仏像、青銅器、 陶磁器などを美しい写真で紹介しています。A4版の迫力で、展示物を細かく観察できます。有名な毛公鼎や青磁水仙盆などが紹介されています。 小生は台北の国立故宮博物院には行ったことがないので、是非とも行ってみたいですね。
560円
講談社
中国の
古典名著
古代から近代までの中国の古典・名著を紹介する辞典的な本です。その書籍の概要と、一部を紹介しています。史書・政治論・思想書・処世訓・宗教・小説・戯曲・記録文学・詩文・ 自然科学書などジャンルに分けて、合計200以上の書籍を紹介しています。ひとつの書籍に費やすページ数は1〜5ページですが、聞いたこともない書籍などを知ることができて、 今後の書籍購入に役立ちます。史書や思想書以外にも目を向けるのも、いいかもしれませんね。
2200円
自由
国民社
春秋戦国新聞
題名の通り、新聞風に春秋戦国時代を書いています。ちゃんと見出しや写真やイラストも用いて、当事者の談などまさに新聞のよう。ほのぼの4コマ漫画もあり、笑いを誘われます。 220ページというボリュームがあり、周の東遷から劉邦による天下統一まで事細かに掲載されています。この企画自体が笑えるものですが、内容は非常にすばらしいもので、詳細な事件まで扱っています。 どの本よりも内容は豊富で、まさにこの時代を知るうえで座右の書といえるでしょう。
1600円
アスペクト
中国全省を
読む地図

莫邦富
現在中国の22省、4直轄市、5自治区、香港、マカオ、台湾の概要を扱っています。各省が抱えている問題、経済状況を詳しく解説し、各章の地図を見ながら考えていきます。歴史もちょこっと記載しています。歴史を勉強している人にも、 「歴史上の土地」が現在どのようになっているのか知ることは、また別の楽しみが発見できます。
476円
新潮社
敦煌美術展
図禄

岡山県立美術館・
岐阜市歴史博物館
敦煌美術展にて販売された本。131ページのオールカラーで展示された全て(と思われる)の写真と解説を載せています。当時の服装や宗教、考え方がよくわかってすばらしいものになっています。 解説は時代別、種類別に詳細にわたっており、展示品だけでなく、「敦煌」自体の概要も書かれてあるので、大いに勉強になる本です。美術展自体も素晴らしく、一見の価値ありです。
2000円
非売品
簡明中国歴史地図集
中国社会科学院
中国の歴史地図集。オールカラーで夏王朝時代から中華人民共和国まで各時代の地図と解説が掲載されています。現在の都市も地図上に書かれてあるので 比較してその時代の都市の位置がよくわかります。ただし中国の出版物だから、当然中国語でかかれてありますので、その辺でよくわからないところもあります。もしかしたら 中国の学校で使用されていたりして・・・などと思ってしまいます。
3840円
中国地図出版社
中華図像遊覧杉原たく哉
中国関連の人物画、歴史画をおもしろおかしく解説しています。人物では神農呂尚孔子、始皇帝、張騫などの絵画の解説があります。
今伝えられている絵画の元の絵画が意外な意図をもっていたり、間違った解釈をしていたりして 意外な発見がありおもしろい。今の日本絵画の原画が中国であることが多いので、はやり中国の文化の影響は強いなあと思わされます。
3000円
大修館
書店
中国帝王図
皇名月ほか 中国歴史漫画作家の皇名月氏の絵が美しい中国の皇帝を中心とした画集。絵とともに説明文があるので、中国歴史に興味をもち始めるには最適な本。 イメージがつかめるし、なんといっても絵が美しい。この中で興味のわいた人物から中国史に入っていくことができる。 単行本になり絵が小さくなってしまったが、さらに興味をもたれた方にはA4版のものもお勧めします。黄帝始皇帝劉邦、李世民、趙匡胤、 フビライ、朱元璋、ヌルハチなど47人。
467円
講談社
中国劇画
三国志
1〜4巻
陳舜臣
監修
中国の画家が書いた漫画風の読み物(これを連環画という)。物語は羅漢中の三国志に忠実で、4巻は晋国建国までを収めています。中国独特の絵柄で 私は非常に好きです。リアルな絵なのでイメージが沸くし、なにより絵がほとんどなので読みやすい。本のきらいな人にも気軽に三国志に入っていけます。また複数の画家(漫画家)が 描いているようで、章によって若干絵柄がことなることもありますが、またそれもおもしろいですよ。
各1400円
中央
公論社
エッセイ
春秋の色
宮城谷昌光
エッセイ集。中国古典のことに限らず、宮城谷氏がメジャーになるまでのエピソードや氏が日々の観察からピックアップした内容になっています。宮城谷氏の小説家としての考え方やスタイルがよくわかります。 宮城谷氏自身を知るひとつの参考となる本です。また氏自身が数々の作家に影響を受けたことと同様に、氏が紹介している作家の書物を読みたいと思うようになりますよ。 小説家の細やかな神経と観察眼、研究心に脱帽です。
495円
講談社
随縁護花
陳舜臣
エッセイ集。随縁護花とは、陳氏作の七言律詩からのことば「今までたいしたことをしておらず、歴史の人物の事跡を聞くと自分の経験はなんと小さいことか。しかし、それも何かの縁であり それに逆らわず人生の花を護る翁として生きていきたい」から取っています。しかし陳氏の著作は多くの読者の人生を豊かにしていることは明らかですけどね。この本は、日中関係について、 中国史の疑問、中国詩人列伝と幅広く扱っていて、知的欲求を満たしてくれる内容となっています。
520円
集英社
日本人と
中国人

陳舜臣
日本人と中国人とを比較したエッセイ集。中国と日本の国家の関係や、中国人と日本人の民族的な違い、考え方の違いなどが綴られていて、意外に思うことや、知っていそうで知らないことがあります。 陳氏はこれが危ないといいます。あやふやな知識は誤解を生みやすいのです。日本で生まれ育った中国人(台湾人)である陳氏独特の視点からのエッセイ。現代では日中関係は必ずしも良好とはいえないので、 正確な相互理解を図って、両国の未来が明るくなればいいなと思いますね。
400円
集英社
中国歴史の旅(上)(下)
陳舜臣
中国の歴史の名勝を解説する本。上巻は北部と西部であり、北京・万里の長城・西安・甘粛・四川・洛陽を扱っています。下巻は東部と南部であり、南京・蘇州・福建・桂林・上海・広州・江西 ・湖南・湖北を扱っています。古代の史跡から近代の毛沢東、現代工業など幅広い範囲の歴史を扱っているのは、陳氏のすばらしい特徴ですね。これを読むと中国に行きたくなります。 また読みやすくてとても親しみやすい本です。
各400円
集英社
紙の道
陳舜臣
紙に関するエッセイ集。「紙」は後漢の宦官蔡倫が発明されたとされます。しかし、近年の研究で紙は蔡倫以前からあったようで、蔡倫は画期的な紙の製造方法か良質な紙をつくったとされるようになりました。 その紙がどのように西方世界に移っていったのか、使用されるようになったのかが書かれています。西方世界への伝達は有名なシルクロードを通ってなされました。 シルクロードの歴史とはちょっと違った西方文化との交流を書いた一冊。
570円
集英社
中国名将の
条件

陳舜臣・
田中芳樹
田中氏が選んだ100人の名称を陳氏と中田氏がざっくばらんに語る談論(会話集)。会話の形態で書かれているので、非常に読みやすく自分のお気に入りの将軍が出てくるとうれしくなります。 ただ二人の知識は広く、小生は中世・近代はあまり詳しくないので、このあたりの武将は始めて聞くものや名前しか知らない人もでてきます。こういうのを見ると自分でも100選を 作ってみたくなりますね。
457円
徳間書店
長安の夢
陳舜臣
唐王朝時代の詩を通じて当時の長安の様子や人々の考え方や生活を描いています。白居易・杜甫・王維など有名な詩人の有名な詩が扱われているので、親しみやすい。また「西域巡礼」では 漢代から現代に至るまでの西域の変遷を政治・経済・宗教などの色々な視点から捉えています。陳氏の西域に対する愛着が感じられ、ロマンを駆り立てられます。「三蔵法師の道」では 仏教がどのように中国に伝えられたかが書かれています。
533円
徳間書店
万邦の賓客
陳舜臣
中国に関する短編随筆集。牧野の戦いから中華人民共和国建国まで様々な題目でかかれています。特に半分以上が西域、シルクロード、新疆ウイグル自治区について書かれており、 陳氏のここに対する並々ならぬ思いを感じます。この地区は昔も今も国際色豊かな場所で、厳しい自然のなかで強国の狭間で活路を見出していかなくてはなりません。今も色々な問題を抱えていますが、 それは昔からこの地域が持っていたものなのでしょう。
533円
集英社
史記の風景
宮城谷昌光101章。 宮城谷氏が漢字、特に甲骨文字に造詣が深いため、文字ひとつひとつの意味を分析し、解説をしてくれています。実際、中国の歴史を読むには文字(漢字)の 意味の解釈でまったく異なった結果になってしまう。よくぞこれほどまで・・・と思うほど、詳しい解説もあります。(もちろん研究者には当然のことでしょうが) 中国史全体を読んだ後でこれを読むとさらに中国に関心が持てるでしょう。薀蓄なものとしても興味深い。・天下三分の計・大うつけ・禅譲の思想・太史公曰く 等
438円
新潮社
雨過天青
陳舜臣82章。 「雨過天青」とは雨上がりの雲の去った天の青さで、この色を出すために磁器つくり人は苦労したという。 中国の話だけではなく陳氏自身の話や日本の話もあります。・関帝廟縁起・青磁器・茶館と茶の文化・吉川三国志と私 等
629円
集英社
中国任侠伝
陳舜臣 中国史に強い印象を与える侠客たちを扱った短編小説。時代は春秋戦国から前漢に至るまでの期間で、 やはり任侠の人が活躍できたのは儒教が国教となる以前だったのかなあと思いました。これらに収めれられている人物はすべて信義を根本としており、 小生のようにサラリーマンとして生きているとのは世界がだいぶ違います。またそのちがうところで憧れやまた共感できる部分も感じられます。
荊軻孟嘗君侯嬴・朱英・季布・郭解・趙群・田仲
438円
文藝春秋
対談
中国を考える

司馬遼太郎 陳舜臣 陳舜臣氏と今は亡き司馬遼太郎氏との対話集。風俗や民族の話が中心になっています。 日本人から見た中国、中国人からみた日本、あるいはその関係についてふたりのくったくのない話がおもしろい。 特にひとつの考えに凝り固まっていないおふたりの考え方、相手を尊重する考え方が見え隠れして、非常に気持ちよく読める本です。実際の中国 ・日本関係には難しい問題が山積みですが、お互いの歴史を自由に語れるようになればいいですねえ。
330円
文藝春秋
歴史の
交差路にて

司馬遼太郎 陳舜臣
金達寿
日本・中国・朝鮮の視点から歴史を話し合う対話法式の書籍です。文字・風俗・食・近代化について三者の考えが交錯します。まさに歴史の交差路。 日本・朝鮮は中国から多大な影響を受けていて、それが日本・朝鮮でどのように国民性と溶け合ったかがおもしろく、各国の著者の考え方も相手を尊重しているので、 読んでいて楽しかったです。
388円
講談社
続・
中国任侠伝

陳舜臣 前作の任侠伝以降の侠客の小説。前漢・新時代の人物を扱っています。『史記』『漢書』以降の正史には任侠が扱われているものが少ないため、陳氏が このように選抜して扱ってくれるのは、非常にうれしいですね。陳氏は任侠=アウトローとして捉えているのではなく、義と信を重んじた人物として捉えています。 よって班超や馬援など政府に仕えた人もこれに含まれています。陳氏には漢以後の任侠についても書いて欲しいですね。
419円
文藝春秋



inserted by FC2 system